道の駅北川はゆま

ファイナルファンタジーⅨ

映画

レビューというより個人的な思い入れになっちゃいますが、よかったら…。

実は私が一番最初にプレイしたFFがこのⅨでしたね。

そしてRPGで泣いたのも初めてだった。

めくるめく絵本のようなヴィジュアルに描かれる街並み、CGなのに温かみが伝わってくるキャラクター造形、戦闘も難易度も難しくも優しくもなく、ストーリーの流れを中断させないいい塩梅。ほどよくつまづき、心を折らない程度に負けさせられる。最高のRPGは他にあるけれど、FFシリーズではこの作品が一番好きだな。なんか映画っぽくて……っと、いうのは最後に述べます。

ストーリーもお姫様をお城から連れ出して、逃避行を繰り広げていくうちになんやかんやで世界を救うことになる……かなりザックリですが。

ストーリーはやや難解ですが、基本はボーイミーツガールものだし、そこにスーパーマンの要素を入れたようなお話ですよ。このゲームのおすすめポイントはそこではないです。でもエンディングは泣けますがね!

ちょっとだけストーリー面で言及すると、ゲームの序盤、演劇の場面が重要な場面になる。物語の中でキャラクターが物語を演じる、つまり作中劇を繰り広げられる。それがなんとエンディングでも再度登場してゲーム史上に残る名場面を作り上げた名演劇だと思う。月の光と音楽によって雰囲気を盛り上げた後のどんでん返しは今見てもきっとグッとくると思うよ。

あと、このゲームは新しい街やダンジョンに行くと画面に文字で紹介される。それが場所ごとに異なった、そして雰囲気を掴んだデザインのフォントで地名を紹介するのがフォントに良かった。

これまでのRPGだったら新しい街に行ったら「強い武器置いているかな?」とか、「どんなイベントが起こるのかな?」をまず思うけど、このFF9ではそんなことよりも前に「どんなフォントが出てくるのかな?」と期待するよ。細かいことかもしれないけれど、ワクワクドキドキをちゃんと高めている素敵な演出だったと強く賛美したいですね。

さて、この映画のもっとも好きな点ですが、それは映画的なところです。こじつけ感がありますが、繋げますよ。

私はこの作品をやって「あぁ、面白かった。他のFFもやってみよう」と思って過去作をすべてプレイしました。どの作品もそれぞれの良さがあるし、地味に二位はFF1だったりするんですが、それは置いといて……

過去のFFをプレイするときに感じたのは「あれっ?これFF9で見たぞ」という既視感の多さだった。例えばFF1のグルグ火山はFF9で地名そのまま出てくるし音楽のアレンジもとってもいい!FF2のパンデモニウムもそうだし、ガーランドはFF1の最初に闘うボスです。ツンツン頭はクラウドのことだったり、今作の敵の設定はFF4と一緒などなど…過去作品からの引用がとても多い!

この過去の軌跡を取り入れつつ、新しいものを作り上げる、という姿勢は非常に映画的だ。映画はそうゆう芸術だと思っている。過去の先人たちが築いた功績に敬意を払いつつ、今の世界を映す画となり、未来に残す記憶だ。それが映画が持つ魅力であり、力強さだと思う。

このFF9の作り方はそうゆう意味で映画的だし、もっというとスターウォーズみたいだ。『スターウォーズⅣ』は過去の様々なジャンル、神話、西部劇、時代劇、クラシック、SFとありとあらゆる物語から作り上げたおとぎ話だ。そして『スターウォーズⅦ』は過去のスターウォーズから構築されたという、築き上げた歴史と、愛された時間が結合した映画だった。このFF9もそんな作品だよ。

ファミリーコンピューターの時代に最後のファンタジーのつもりで作られたRPGだった「ファイナルファンタジー」。それが長い時間、ファンからも愛されて世代も時代、ついには作り手が変わっても人々の心をファンタジーの世界に馳せる魔法を放ち続けるシリーズだ。

最後の物語が永遠に語り継がれることがあらんことを。